より豊かな絆のために Hartz®(ハーツ)

堀井隆行のペットの気持ちColumn

住商アグロインターナショナル ハーツ事業部"
Vol.23

日常のケアはコミュニケーション

著者:堀井隆行
なぜケアが嫌いな犬猫が多いのか?

犬猫を飼育していると、ブラッシング、爪切り、歯磨き、目の周り・口の周り・肢(あし)先を拭くなど、健康や衛生の維持のために何かとケアをしてあげることがあります。愛犬や愛猫のためになることですが、迷惑だと言わんばかりに嫌がられた経験をもつ飼い主さんも少なくないことでしょう。なぜ犬や猫はケアが嫌いなのでしょうか。

多くの場合、ケアは必要なときに必要なだけやろうとします。必要に迫られてやるわけですから、ついついケアの目的を果そうと多少強引にやってしまうことがあります。飼い主さんとしては、ケアの意義を理解しているので多少強引になる自分を許せますが、残念ながら犬猫にはケアの意義がわかりません。また、ケアを必要とする口・目・耳・肢(あし)先・尾などの多くの部位は、もともと敏感で、軽く触るにも嫌がりやすい部位です。つまり、強引になればなるほど犬猫の嫌悪感が増し、結果的にケアを嫌いになるきっかけになってしまいます。必要なことをすればするほど嫌がられるのですから、飼い主さんもたまりませんね。どうすれば犬猫がケアを受け入れてくれるようになるのでしょうか。

“絆”と“コミュニケーション”が必要

犬や猫がケアを受け入れてくれるための根本にあるのは“絆”です。ケアをするためには身体に触る必要がありますが、“信頼して安心できる相手”でなければ触られたくないのは人も動物も同じです。まずは、犬猫が触られることを受け入れてくれる、さらには求めてくれるような絆をつくりましょう。とは言うものの、飼い主さんが触れない犬猫はケアをする以前の問題なので、多くの場合ここまでは問題なくできています。しかし、「触れること≠全身のどこでも触らせてくれること」だということを覚えておく必要があります。背中や胸などの体幹部は触らせてくれる犬猫も、顔・肢(あし)・尾という末端部は嫌がる場合が多いです。全身のどこでも触らせてくれるためには、“絆を活用したコミュニケーション”が大切になります。

日常的に愛犬や愛猫と穏やかにコミュニケーションをする時間をつくってください。優しく声をかけながら、優しい力加減でゆっくり身体をなでてあげます。絆があるもの同士がお互いにゆったりした時間を過ごせば、世間的に「幸せホルモン」、「愛情ホルモン」、「癒しホルモン」などと呼ばれる“オキシトシン”が分泌されてリラクゼーションが得られ、絆も深まります(詳しくはVol.18「犬と見つめ合う幸せ(幸せホルモン「オキシトシン」と絆形成)」を参照)。このようなときには、顔・肢(あし)・尾という敏感で嫌がりやすい部位も触られることへの抵抗感が弱まり、体幹部から連続的にゆっくりと優しい力でなでていけば、あまり嫌がられずに触れます。もちろん力加減が大切ですが、犬猫の反応を観察しながら、焦らずに徐々に触る範囲を広げていきます。安らいだ状態で触られる経験を繰り返すことで、日常的にも触られることに対する抵抗感が弱まり、慣れていきます。うまく学習してくれれば、触ることでリラックスしてくれるようになることもあります。つまり、日常的なコミュニケーションを介すことで、愛犬や愛猫との絆も深まり、全身のどこでも触れるようになるということになります。

ケアは必要に迫られていないときから始める!

全身のどこでも触れるようになったら、いよいよケアの練習です。具体的に道具やケア動作に慣れさせていきます。慣れさせることは一日では達成されませんから、肝心なことは「時間にも心にも余裕のあるときにやる」ことです。ブラッシングや爪切り、歯磨きなどはケア道具を使用するので、まずはケア道具に慣れさせます。警戒心の強い犬猫の場合は、ケア道具の見た目で避ける場合もあるので、まずは見慣れることからはじめます。その後、ケアをする部位に道具が軽く当たる感触に慣れさせます。この際に、道具でじゃれさせないように注意してください。犬猫がケア道具を“おもちゃ”と認識してしまうと、ケア中に遊ぼうとしてじっとしていられなくなります。道具が当たる感触に慣れたら、次は実際のケア動作に慣れさせます。ただし、ケア動作の全てを一気にやろうとしないでください。例えば、ブラッシングであれば嫌がりにくい背中の辺りを優しくとかすこと、爪切りであれば肢(あし)先を持ち上げた状態を維持すること、歯磨きであれば口吻を優しくホールドして歯ブラシを頬の奥(後臼歯の部分)に入れること、などケア動作の最初の部分ができればOKというところから、徐々に進めていくことが大切です。いずれの慣れさせる過程においても、愛犬・愛猫にとって“飼い主さんとの楽しいコミュニケーションの機会”と位置づけることが成功の秘訣です。優しくなでてあげ、優しく声をかけて褒めてあげ、おやつをあげ、お互いに楽しい時間を過ごせれば、慣れるのも早くなりますし、喜んでケアを受け入れてくれるようになります。日常のケアを必要に迫られてやるのではなく、コミュニケーションとして楽しんでみてください。