より豊かな絆のために Hartz®(ハーツ)

堀井隆行のペットの気持ちColumn

住商アグロインターナショナル ハーツ事業部"
Vol.24

猫にもトレーニングはできる!

著者:堀井隆行
猫はトレーニングできない?

猫には、「自由気ままな生き物で、人の言うことなんて聞いてくれない」というイメージがあります。そのことから、「猫にトレーニングはできない」や「犬はトレーニングが必要な動物、猫はトレーニングが必要ない動物」と思っている人も多いのではないでしょうか。それでは、本当に猫はトレーニングできない動物なのでしょうか。

動物のトレーニングというのは、「動物に色々な行動を学習させる」ということです。つまり、もし猫がトレーニングできない動物だとするならば、「猫には学習能力がない」ということになってしまいますが、さすがにそんなことはありません。猫にも行動を学習する能力はしっかりと備わっていますから、猫だってトレーニングができるわけです。犬のように「オスワリ」や「フセ」、「マテ」なども教えられますし、「オテ」や「ハイタッチ」などのトリック(芸)だって教えられます。ただし、教え方は犬と全く同じではなく、猫の行動の特徴に合わせてあげる必要があります。

猫だからこそ「より楽しく!より辛抱強く!」

猫もトレーニングができるとは言うものの、犬ほどスムーズにはいかないことも多々あります。それは、基本が単独性の動物である猫は、人と協調的に動くことが犬ほど得意ではないことが根本にあります。ですから、人とトレーニングするということに猫を積極的にさせるための明確な動機づけをする必要があります。多くの場合、食物の獲得や遊びがトレーニングの動機づけになります。犬でもトレーニングを楽しいものにすることは大切ですが、猫では“楽しさ”がより重要な意味をもちます。それは、犬のトレーニングの一部で用いられる社会的な圧力や罰を使う方法では、猫はトレーニングのために人と向き合ってはくれないからです。また、愛猫の気が向いた時にしか近くに来てくれない、触らせてくれないという飼い主さんも少なくないことでしょうから、猫のトレーニングは辛抱強くじっと待つ姿勢も犬より重要になります。

猫のトレーニングが犬ほどスムーズにいかない理由は、社会的な性質上の特徴だけでなく、他にもいくつかポイントがあります。まず、猫は偏食傾向が強いので、トレーニングに用いるおやつ選びに意外と苦労するということです。トレーニングに使いやすく、夢中になってくれるような、猫の嗜好に合うおやつを事前に探しましょう。次に、猫は環境の変化に弱いということがあげられます。慣れ親しんだ環境以外では急激に動かなくなり、トレーニングどころではなくなることもしばしばです。基本的には自宅内でトレーニングをするので問題はないでしょうが、他の環境に連れて行く場合には十分に環境に慣れさせる時間が必要になります。さらに、猫は捕食(狩猟)に関連する行動が強く残っているため、動く物や物音、生物、風の流れなど様々な環境刺激に対して反射的に動いてしまうことが多いです。おもちゃを動かして意図した方向に移動させるなどトレーニングの際に利用しやすい面もありますが、注意散漫になり、集中が続かない原因になる面もあるので、最初はなるべく余計な刺激のない静かな環境でトレーニングすることが重要です。
 猫のトレーニングには色々と難しい点はありますが、飼い主さんと愛猫のコミュニケーション機会を間違いなく増やします。辛抱強さは必要ですが、楽しいトレーニングは愛猫と飼い主さんの絆を深めてくれます。「オスワリ」など簡単なことから教えてみてはいかがでしょうか。

簡単な行動を教えてみよう!

猫のトレーニングは、猫がお腹を空かせているときに行うと、食物を獲得するために積極的に動いて、考えて、集中してくれます。手始めに教える行動として、「オスワリ」や「オイデ」が簡単で手頃だと思います。
「オスワリ」を教えるポイントは、犬と同じく猫の顔(目線)を上方に上げさせることです。原則的に顔が上がるとお尻が下がるので、自然と「オスワリ」の姿勢になります。食物を手に握って(あるいは指でつまんで)猫の鼻先に近づけて追わせることで、猫の顔が上方を向くように誘導しても良いですが、食物を持っている人を見上げる場面を作れば、勝手に座ってくれる猫もたくさんいます。猫が座ったらすかさず報酬(行動を増やす要因)として食物を与えます。猫が頻繁に座るようになってきたら、「オスワリ」などの声の合図を出してから座らせるようにします。比較的簡単に教えることができる「オスワリ」ですが、食物で誘導する場合には、猫が前肢で人の手を挟み込んだり、飛びついたりすることが犬よりも頻繁に起こるため、注意が必要です。個人的には誘導を使わないほうが楽だと思います。
「オイデ」は「オスワリ」よりも更に簡単に教えられます。人が食物を持っていることが分かれば、お腹を空かせている猫は勝手に人に近づいて来てくれます。人の足下まで近づいてきた猫に報酬として食物を一粒与え、場所を移動して、また猫が足下まで近づいてきたら報酬として食物を一粒与えます。これを繰返し、途中から「オイデ」などの声の合図をつけていきます。数日間、この「オイデ」の場面でしか食物を食べられない状況を作ると、より効果的に覚えてくれます。

オスワリ(食物あり)
オイデとオスワリ(食物あり)
オイデとオスワリ(食物なし)



「オスワリ」と「オイデ」ができるようになれば、猫を近くに呼んで、留めることが可能になるので、更に色々な行動を教えやすくなります。トレーニングにがっつり取り組みたい飼い主さんは、クリッカー(金属板を「カチッ」と鳴らす音を行動の正解の合図として用いるための道具)やターゲットスティック(棒の先端を行動の目印とするための道具)などの道具を活用しても良いでしょう。さあ、愛猫とのトレーニングを始めてみましょう。