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堀井隆行のペットの気持ちColumn

住商アグロインターナショナル ハーツ事業部"
Vol.6

猫の食事の嗜好性

著者:堀井隆行
基本的にはお肉が好きな猫の嗜好性は羊肉、牛肉、馬肉、豚肉、鶏肉、魚肉の順 基本的にはお肉が好き!
猫は魚が好き?

国民的アニメの主題歌の一節にも「お魚くわえたドラ猫追っかけて」とあるように、日本では猫が魚を好んで食べるというイメージがあります。また、市販のキャットフードやおやつの多くがサケ、カツオ、マグロなどの魚を原料としていますし、「猫=魚」というイメージからか飼い主も魚を原料とする製品を選ぶ傾向にあります。さて、猫は本当に魚が好きなのでしょうか。


海外の文献では、猫の嗜好性は『羊肉、牛肉、馬肉、豚肉、鶏肉、魚肉』の順に低くなるという報告があります。日本人にとっては意外な気もしますが、以前のコラム(Vol.4)でご紹介したとおり猫のルーツは砂漠地帯にあり、濡れることも泳ぐこともあまり好みませんから、猫自身が魚を獲物として捕らえて食べることは基本的にはありません。猫本来の主たる獲物はネズミなどの小型哺乳類で、魚は入らないことからすると魚肉の嗜好性が低いこともうなずけます。では、日本人のイメージが完全に間違っているのかと言われると、そうとも言い切れない部分もあります。魚肉も一応“肉”ですから、肉食性の猫にとって「食べ物」の範疇には入ります。日本のように魚が豊富な環境では、猫が自ら捕らえなくても、人に与えられれば食べるわけです。猫は幼い頃から慣れ親しんだ食べ物を好む傾向にあるので、日本の猫たちは魚を好みやすい傾向にあるともいえます。まとめると、「基本的にはお肉が好き!でも、お魚もけっこう好きだよ。」というのが一般的な日本の猫ではないかと思います。

食事の好みにうるさい猫
偏食が手強い猫

猫といえば、食事の好みにうるさいことでも有名です。愛猫の偏食に悩まされている飼い主も多いことでしょう。犬と比べて猫の偏食は手ごわい場合が多く、1~2種類の特定の食べ物しか食べない場合だけでなく、好まない食事は空腹状態が極限に達しても頑なに食べないこともあるくらいです。猫の食物に対する嗜好性は6ヵ月齢までに決まり、特に離乳期以降の社会化期(10週齢頃まで)に母猫や飼い主などから与えられた食物が嗜好を決めることが多いといわれています。つまり、幼少期に多様なニオイ・味・食感の食物を経験していない場合に、食物に対する嗜好の幅が狭くなり、偏食になりやすいということです。


飼い猫の場合、子猫の体調面への配慮などから与えるフードの種類はある程度固定されてしまいます。一方、野良猫の場合はネズミ、鳥、トカゲ、昆虫など、その時々で得られる食物を食べるため、比較的多様な食経験をしやすいです(母猫が偏食の場合は別として)。このような観点からは、幼少期を野良猫として育った猫よりも生まれたときから飼い猫として育った猫のほうが偏食になりやすい傾向にあるように思います。だからといって6ヵ月齢未満の子猫のフードを頻繁に変えるわけにもいきませんから、主食となるフードの種類は決めて、それとは別に少量の多様な食物を食べさせるとよいでしょう。いずれにしても、成長してしまった猫の食事の好みの幅を広げることは至難の業です。食事の好みは“十猫十色”ですから、多くの猫が食べるフードはあっても、万能なフードはありません。猫が目新しい食物を食べてくれやすくなる安心できる環境で、根気よく“お口に合うもの”を探すしかありません。

猫は食べ物の好き嫌いを
どう判断するのか?

猫が食べ物の好き嫌いを判断するための重要な要素は“ニオイ”です。目新しい食物を目の前にした猫のほとんどが入念にニオイを嗅ぎます。猫は目新しい食物を避ける傾向が強く、食べるかどうかをとても慎重に判断しようとしますが、ニオイが気に入れば食べてしまいます。意外にもニオイを嗅いだ後に、さらに舌先で舐めて味も慎重に確かめようとする猫はそれほど多くありません。このような行動を見ていると猫は“味”よりも“ニオイ”が重要なのだとわかります。体温程度に暖まった食事や水分を多く含む食事は、ニオイが立ちやすいので猫に好まれやすくなります。また水分を多く含む食事は、滑らかで食感がよく、咀嚼が苦手な猫にも食べやすいことからも好まれやすいです。食べやすさという点では、一口大の大きさで噛み切りやすい柔らかさが好まれやすく、大きすぎたり硬すぎたりすると食べることを止めてしまうことがあります。ちなみに、味の面で猫に特徴的なのは糖分の甘味が嗜好性を高めないことです。ホイップクリームやアイスクリームのような甘いものを好んで舐める猫がいますが、乳脂肪や滑らかな食感に反応しているものと考えられています。

猫の食事はニオイと食べやすさが大事 ニオイと食べやすさが大事!

猫自身が食べ物を気に入っているかどうかは、食べ物を嗅いだり舐めたりした後の行動で分かるといわれています。唇を舐めて顔をグルーミングすると気に入っていて、鼻を舐めると気に入らないそうです。ちなみに、食欲旺盛な我が家の猫たちはもっとシンプルで、『気に入ったならサッサと食べて、もっと欲しいとおねだりする』、『食べるけれどもおねだりしないのはそうでもない』、『まったく気に入らなければ食べない』という分かりやすさです。食べ物を目の前にした愛猫の反応をじっくり観察しながら、食事の好みを探ってみると楽しいですよ。