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堀井隆行のペットの気持ちColumn

住商アグロインターナショナル ハーツ事業部"
Vol.17

猫のボディランゲージの豆知識

著者:堀井隆行
シッポを振る猫は喜んでいる?

「シッポを振っている犬は喜んでいる」という認識から、猫もシッポを振っていると喜んでいると思われがちです。多くの人が犬も猫も同じようなボディランゲージをすると思っているようですが、これは本当に正しいのでしょうか。
実は、猫がシッポを振るのは苛立ちや警戒など「不快」な場合が多いのです。猫に近づこうとしたときに、こちらを見てシッポを振っているのは、多くの場合「近づいて来ないで」のサインですし、猫をなでている途中でシッポを振りはじめるのは、多くの場合「これ以上は触らないで」のサインです。犬を基準にして「喜んでいる」と思ってしまうと、引っかかれたり、咬まれたりすることがあるので、ご注意ください。

そもそも、猫が犬のようにブンブンと激しくシッポを振ることはありません。猫の場合、シッポを振る表現よりも、シッポの位置や形、毛の逆立ち具合の表現のほうが多様なのです。例えば、友好的あるいは気分が良い猫は、シッポをまっすぐ垂直に立て、毛の逆立ちはなく、振りません。ここに楽しさなどの「快」の興奮が強く加わると、シッポはさらに背中の上のほうに弓なりになります。また、遊びや恐怖に伴う攻撃的な興奮が加わると、シッポの毛が激しく立毛し、シッポが太く見えます。
このように、シッポの表現は犬と猫では異なるので、犬を基準に猫のボディランゲージを判断しないようにしましょう。近づいたり、触ったりしてよい猫は、シッポを振っている猫ではなく、毛を逆立たせずにシッポをピンと立てている猫なので、ついつい犬基準で考えがちな人は知っておきたい豆知識ですね。

仰向けになってお腹を見せる猫は服従している?

「仰向けになってお腹を見せる」という行動も、犬を基準に「服従している」と思われがちな猫のボディランゲージですが、実は、猫が仰向けになってお腹を見せるのは、遊びの誘いやリラックスの表現である場合が多いのです。一部、求愛行動や防御的な行動としても起こりますが、明らかに様子が違うので見分けがつくと思います。

また、猫が仰向けになってお腹を見せるのは、確かに友好的あるいは気分が良い状態なのですが、気をつけなければいけないこともあります。それは、不用意に“お腹をなでないこと”です。犬の場合は、友好的に人からお腹をなでられることを好んで受入れることが多いですが、猫の場合は、お腹をなでている人の手を咥え込み、後肢で激しく蹴る(いわゆる“猫キック”)場合がほとんどです。これは、猫がお腹を触られることに犬よりも嫌悪感を感じやすいこともありますが、猫の場合は遊びの一形態として懐に抱えたものを“猫キック”する行動があるからなのです。遊びとして加減をしてくれる猫の場合は、人の手を噛まずに前肢で抱え込んで、爪を立てずに軽く後肢で蹴る程度ですが、加減ができない猫や興奮度の高い猫、途中から触られることへの嫌悪感が強くなってきた猫などの場合は、人の手に噛みつき、前肢も後肢も爪を立てて激しく動かすため、血がにじむほどの傷を負うこともしばしばあります。また、顔や前肢の前に接近するものに対して前肢で叩く・引っかく(いわゆる“猫パンチ”)場合もあります。つまり、遊びとはいえ、下手に猫の遊びにお付き合いすると、怪我をすることもあるということです。お腹を見せている猫には不用意に触らず、優しく見守るか、おもちゃで遊んであげることをお勧めします。

シッポを上げて牙をむき出してシャーと鳴いている猫は強気なのか弱気なのか?

猫がシッポを上げて牙をむき出してシャーと鳴いているのは、相手を威嚇している行動です。これを犬基準で考えると、シッポは直立して、四肢も伸ばし、毛を逆立てて体が大きく見えるので、自ら進んで発する強気な威嚇(攻勢的威嚇)だと思えます。しかし、実は相手が怖くて身を守るために発する弱気な威嚇(防御的威嚇)なのです。猫は恐怖心と攻撃心の表現が犬とは少し違うので、ポイントをご紹介します。
 猫が恐怖を感じると、伏せるように体を縮めて、耳を後方に寝かせ、シッポは体に沿うように丸めます。ところが、ここに攻撃心が加わってくると、だんだんと体を大きく見せるように、四肢を伸ばして姿勢を高くし、背中が弓なりになり、シッポを高く直立させ、全身の毛を逆立てていきます。自分の身を守ろうとしている猫は、できるだけ体を大きく見せることで相手を威嚇しようとするのです。ただし、このときに耳だけは後方に寝かせたままになっているので、恐怖を見分けるポイントは耳になります。
 一方、強気な威嚇の場合は、軽く身構えたような姿勢をとり、耳を立て、シッポは付け根だけを持ち上げて先端は垂らし、背中とシッポの毛を軽く逆立てます。強く牙をむき出したり、シャーシャーと何度も鳴いたりすることもありません。このように、強気な猫のボディランゲージに大げさなところはなく、その点が余裕の表れとも言えるでしょう。
 猫の場合も最も危険なのは、自分の身を守るために威嚇している猫を追い詰めることです。酷く引っかかれたり、咬まれたりする危険性があるので、不用意に手を出さないようにしてください。もし愛猫が威嚇をする場合、なぜ威嚇をするのかを冷静に観察し、酷い問題行動に発展する前に専門家に相談することをお勧めします。