より豊かな絆のために Hartz®(ハーツ)

堀井隆行のペットの気持ちColumn

住商アグロインターナショナル ハーツ事業部"
Vol.18

犬と見つめ合う幸せ(幸せホルモン「オキシトシン」と絆形成)

著者:堀井隆行
愛犬とアイコンタクトできますか?

愛犬と生活していると、目と目が合って見つめ合い、気持ちが通じた気がすることがあると思います。いわゆる“アイコンタクト”ですが、人と犬がアイコンタクトできることは、意外にも特別なことなのです。一般的に多くの動物は、自分がどこを見ているのか、何を見ているのかを知られないように、視線の向きが分かりにくい目の構造をしていますし、相手の目を直視することは威嚇を意味します。つまり、多くの動物はアイコンタクトを避けようとするのです。しかし、人と犬は、穏やかに相手の目を直視することを親和的な意味として受け取ることができ、自然にアイコンタクトでコミュニケーションができる珍しい関係なのです。

人と犬がアイコンタクトをする場合、やはりその前提として親和的な関係性が必要です。人でも犬でも見知らぬ存在からいきなり目を直視されるのは嫌なものです。お互いに危険や不安を感じずに、安心して相手を受入れることができるという状態になって、はじめてアイコンタクトが成立します。特別なトレーニングとして飼い主と愛犬とのアイコンタクトを練習する場合もありますが、本来は日常生活で自然とできるようになるものです。愛犬とアイコンタクトができるかどうかは、飼い主と愛犬の関係性が良好かどうかの指標になります。

見つめ合うとお互いに幸せなのか?

2015年に世界的科学雑誌Scienceで自治医科大学の永澤美保先生らによる人と犬の絆へのオキシトシンの関与についての研究成果が発表されています。この研究によると、30分間の飼い主と犬のコミュニケーション中に飼い主をよく見つめる犬とその飼い主は、お互いに“オキシトシン”の分泌が増えるそうです。そして、このオキシトシンの分泌増加は、飼い主をあまり見つめない犬や、人に飼育されているオオカミ(ほとんど飼い主を見つめない)と、その飼い主には認められなかったそうです。

この研究で測定された“オキシトシン”は、脳の下垂体後葉から分泌されるホルモンで、最近巷では「幸せホルモン」や「愛情ホルモン」などと呼ばれています。元々、オキシトシンは乳汁の分泌を促すホルモンとして有名でしたが、現在では、性別を問わずストレスを和らげてやすらぎをもたらすことや、他者との親密な絆の形成に関与することが知られています。つまり、飼い主と愛犬のアイコンタクトは、「関係が良ければできます」、「ドッグトレーニングのときに集中してくれるので役立ちます」というだけではなく、見つめ合うことでお互いにやすらぎを感じ、さらに絆を深める効果があるようです。素晴らしいことに、見つめ合っている飼い主と愛犬はお互いに幸せなのですね。

大切なのは見つめ“合う”こと

前述の研究成果で注目したいことは、飼い主が一方的に愛犬を見つめているだけではオキシトシンの分泌は増えないのだろうということです。永澤先生らの研究グループが考えているオキシトシンの分泌が増える仕組みは、①愛犬が飼い主を見つめる、②飼い主のオキシトシンの分泌が増える、③飼い主が愛犬を見つめ返し、穏やかになでたり、声をかけたりする親和的な行動が増える、④愛犬のオキシトシンの分泌が増える、⑤愛犬から飼い主への親和的な行動が増える、というサイクルです。つまり、愛犬が飼い主を見つめなければ(愛犬が飼い主に注目しなければ)、このサイクルはスタートしないということです。飼い主さんは、愛犬に注目され、その注目に応えて、見つめ“合う”状態をつくることが大切なのです。残念なことに、しつけ相談や行動カウンセリングなどで出会う犬たちは、飼い主に注目しない場合が多いです。まずは、愛犬に見つめてもらえる飼い主を目指しましょう。愛犬に無関心すぎてもいけませんが、一方的に過干渉・過保護な飼い主にも愛犬は注目しませんので、ご注意ください。
さあ、愛犬と穏やかにアイコンタクトができるか試してみましょう!