より豊かな絆のために Hartz®(ハーツ)

堀井隆行のペットの気持ちColumn

住商アグロインターナショナル ハーツ事業部"
Vol.9

「猫の“すりすり”は愛情表現?」

著者:堀井隆行
猫が“すりすり”するのはなぜ?

 愛猫と生活していると、人や物に対して身体を“すりすり”と擦りつける行動をよく目にします。猫に“すりすり”されると、「懐いてくれているのかな?」と嬉しく思いますし、物に“すりすり”しているのを見ると、「身体が痒いのかな?」と思うこともあるでしょう。それでは、猫が身体を擦りつける行動にはどのような意味があるのでしょうか。人に擦りつけることと、物に擦りつけることとは、意味が違うのでしょうか。

顔を中心に擦りつけて社会的な距離感を縮めるマーキングをする猫

 実は、猫の“すりすり”は人に対しても物に対しても、マーキング行動の一種です。つまり、自分のニオイをつける意味があるということです。猫の頬や口の周り、額、顎の下、耳の付け根、肛門の周りなどには分泌腺があり、個体特有のニオイ物質を分泌します。特に顔周辺に分泌腺が多いので、実際には顔を中心に擦りつけて、自分のニオイを人や物につけています。物に対するマーキングは、純粋に自分のなわばりや行動範囲を示すためですが、人に対するマーキングは、相手との社会的な距離感を縮めるためであり、その点に違いがあります。

“すりすり”は愛情表現なのか?

 猫に“すりすり”されると嬉しい人が多いと思いますが、人にマーキングする行動を「愛情表現」だと思ってよいのでしょうか。前の項に書いたとおり、人に対する擦りつけには相手との社会的な距離感を縮める目的があります。そして、より愛着のある猫や人に対しては、頻繁に“すりすり”します。あまり知らない人に対しては、ニオイをつけることで、これから親和的な関係性を築いていこうという意図があるのでしょうが、既に愛着関係を築いている飼い主さんに対しては、「愛情表現」と思っても間違いではないでしょう。なお、外出先から帰ってきた飼い主さんに“すりすり”をたくさんするのは、ニオイの上書きだと考えられています。

明らかに身体を擦りつけてくる行動は猫の愛情表現

 また、猫の“すりすり”にはマーキングではないものもあります。顔を中心に擦りつけてくるのではなく、明らかに身体を擦りつけてくる行動です。擦りつけるというよりも「絡みついてくる」と表現したほうがいいかもしれません。このときに、尻尾はピンと上に立っていて、喉をゴロゴロと鳴らしていることもあるでしょう。これは、愛情表現として寄りそう行動ですから、猫が甘えているのだと思ってよいです。このように、猫の“すりすり”は2種類あるので、違いを見比べてみてください。

ちょっと困る猫の愛情表現

 “すりすり”以外にも猫の愛情表現には、寄りそってきて喉をゴロゴロ鳴らしたり、前肢で“ふみふみ(もみもみ)”したり、顔に鼻先をチョンとくっつけたり、など色々ありますが、中にはちょっと困るものもあります。それは、喉を鳴らしながらまったりとくつろいでいる途中に手などを「カプッ」と噛んでくる愛情表現です。これは、いわゆる「甘噛み」の一種です。猫としては加減をしながら軽く噛んでいますが、猫の犬歯は鋭いので、いくら甘噛みでもチクッと痛みが走ります。愛猫からの愛情表現はとても嬉しいですが、「甘噛み」はエスカレートしないように、気持ちだけありがたく受け取って、そっと遠慮することをお勧めします。また、顔や手などをペロペロ舐めてくれることもあります。これは、猫同士で身体を舐めあっている社会的グルーミングと同じ愛情表現です。しかし、猫のザラザラした舌で舐められ続けると、だんだん痛くなってきてしまいます。ほどほどにしてもらいましょう。
 ちょっと困った愛情表現もしてしまう猫ですが、愛猫の愛情表現を見逃さずに、たっぷりの愛情で応えてあげて絆を深めてください。