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堀井隆行のペットの気持ちColumn

住商アグロインターナショナル ハーツ事業部"
Vol.14

犬のボディランゲージの豆知識

著者:堀井隆行
シッポを振る犬は本当に喜んでいる?

 「シッポを振っている犬は喜んでいる」という認識を多くの人が持っています。当たり前のことすぎて疑問に思う人もいないでしょうが、これは本当に正しいのでしょうか。

実際に犬は喜んでいるときにシッポを振りますが、違う場面でもシッポを振ることがあります。それは、不安や恐怖で緊張しているとき、相手を威嚇しているとき、などです。「喜んでいる」とは正反対の場面ですから、ときに「シッポを振っている犬を触ったら咬まれた」という事態も起こります。「シッポを振っている」という一点だけで犬の気持ちを判断してはいけません。

 一口にシッポを振っていると言っても、気持ちが違えば振り方も変わります。犬が喜んでいるときは、シッポは自然な付き位置よりも上がり、余分な力が抜けているので付け根から柔らかく大きく振ります。一方、不安や恐怖で緊張しているときは、シッポは自然な付き位置よりも下がり、力が入るため先端に近い部分だけを小刻みに振ります。しかし、強気に威嚇をしている場合には、シッポを上げた状態で先端を小刻みに振るため、ポイントとしてはシッポの高さよりもシッポの力の入り具合のほうが大切です。

 つまり、「シッポを振っている犬は喜んでいる」は間違いで、「喜んでいる犬は柔らかくシッポを振る」が正しいわけです。いずれにしても、シッポを振るか振らないかだけでなく、姿勢や表情を全体的に観察して、その場の状況と合わせて犬の気持ちを判断することが大切です。

仰向けになってお腹を見せる犬は服従している?

 「仰向けになってお腹を見せる犬は服従している」ということも広く世の中で語られる話です。このことも本当に正しいのか考えてみましょう。

 確かに犬のボディランゲージの中で相手に敵意がないことを示す姿勢(いわゆる服従姿勢)の最大限の表現は「仰向けになりお腹を見せること」です。実は、この姿勢をするということは相手から相当に強い威嚇を受けて、とても怖いという状態に犬があるということです。もし、目の前にいる犬があなたに服従姿勢としてお腹を見せているのであれば、「あなたはその犬にいったい何をしたのですか?」と聞いてみたくなります。

 一方で世の中には仰向けになってお腹を見せる犬がたくさんいることも事実です。この犬たちのすべてが服従のためにお腹を見せているわけではなく、そのほとんどは“触ってほしい”だけです。「犬はそんなにお腹を触られるのが好きなのか?」と問われれば、元々は特別に好きだということはないと思います。これは、“人のせいで好きになる”のです。多くの人が仰向けになってお腹を見せる犬を見ると「可愛い!」と思い、ついついお腹をなでてしまいます。そして、そういうときには、ついついいつもよりも優しく話しかけたり、長く触ったりしてしまいがちです。最初にお腹を見せたきっかけは何にせよ、お腹を見せればチヤホヤされるとあればあっという間に犬はお腹を見せることを覚えてしまいます。「なでて~♪」くらいのニュアンスでお腹を見せる犬は可愛らしいですが、なかには「おい!なでろ!」というニュアンスの犬もいます。そういう犬は、なでるのを止めると吠えたり咬んだりしてくることがあるので注意が必要です。

 つまり、世の中のお腹を見せる犬の多くは“服従”ではなく“要求”をしているということになります。本当に服従している犬との見分け方で、最も簡単なのはシッポを股の間に挟んでいるかどうかです。シッポを股の間にグッと挟み、顔に怯えの表情が見られる犬のお腹を不用意に触ってはいけません。酷く咬まれる危険性があります。多くの犬は、触ってほしくてお腹を見せながらシッポを柔らかく振って、顔も笑っていますから観察してみてください。ちなみに、命令的なニュアンスの犬は、触らないで放っておくと焦れて暴れはじめるので見分けられます。

牙をむき出して唸っている犬は強気なのか弱気なのか?

 犬が牙をむき出して唸っているのは、相手を威嚇している行動ですが、自ら進んで発する強気な場合(攻勢的威嚇)と、相手が怖くて身を守るために発する弱気な場合(防御的威嚇)があります。当然、ボディランゲージには違いがありますが、意外と知られていないようです。

 見分け方の最大のポイントは、耳とシッポです。強気な場合は、耳を立てて、シッポをグッと上げています。一方、弱気な場合は、耳を後方に寝かせ、シッポは股の間に挟むように下げています。また、姿勢にも違いがあります。強気な場合は、胸を張り、四肢を伸ばして、身体が大きく見えるように堂々とした姿勢をとります。一方、弱気な場合は、四肢が曲がり、低い姿勢で後ろ重心(いわゆる“逃げ腰”)になります。さらに細かく見れば、弱気な場合には武器である牙をより強調するために、強気な場合よりもはっきりとむき出し、それに伴ってマズル(「口吻」とも呼ばれる鼻筋から口にかけての部分)に強くシワがよります。もちろん、表情はまるきり違います。ただし、耳が垂れている犬やマズルが短い犬、シッポが短い犬などは部分的に表現が分かりにくいので、全身をよく見て判断することが大切です。

 冷静によく見れば、強気なのか弱気なのかは比較的簡単に分かるはずですが、威嚇をしたことを単純に「反抗的」だとみなして、犬を追い詰めてしまう場合があります。最も危険なのは、自分の身を守るために威嚇している犬を追い詰めることで、酷く咬まれる危険性があります。犬が威嚇をしている場合、なぜ威嚇をするのかを冷静に観察することが大切です。間違っても不用意に手を出さないようにしてください。もし、愛犬が威嚇をする場合、酷い問題行動に発展する前に専門家に相談することをお勧めします。